花咲く胸に 光の柱を背負い 耳はあなたの歓びを聞く

長崎にて。8/10記す。

1
かつて憎しみの果てに殺し合ったこの地で
あなたであった私がたくさんの私を殺したこの地で

地を穿つような鋭い大雨が
すべての疑いの霧を洗い流し
悪夢の終わりを告げました。

「戦争は、まず想念の世界で形となり
それから物質化します
あなた方は、まず心の中で大量虐殺を行い
それから実際にそれを現象化したんです
敵と味方という形を取り
“あいつが私を傷つけた”
“あいつが先に私を傷つけた”
と泣き叫びながら
“あいつが私から盗った”
“あいつが先に私から盗った”
と怒り狂いながら
“さあ、子供を、愛する人を返せ”
“お前たちは悪魔だ”

それらの呪いはすべて
【自分自身】にかけていると知らずに
あなた方は『外側に敵がいる』と言って
自分自身の内側にある地獄から目をそらし
そのために外側に地獄を顕現させたんです」

「戦争は何も生み出しません
ただ、地獄を量産するだけです
心の中の地獄の形に従ってそれは生み出され
肉体の苦しみの悪夢となり
『地獄はある』という信念を強めます
そして
自ら創り出した不幸により
あなた方はまた憎しみ合いました
なぜなら、原因であった内側の地獄を癒やすためには
まず何より先に
内側にある地獄を見つめなければならず
そのような『恐ろしいこと』には堪えられないと、内側の声を封じたからです」

大雨と風の泣きじゃくるような悲鳴は
殺し合いの土地から生まれた子らの
幾年も積まれた赦しの石(意志)によって
すべてを愛(神)に還す祈りによって
この地(血)を雪(そそ)ぐ 聖なる水となりました

2
「私はあなたを殺したいほど憎んでいた」
と母が言った
「私も毎日、どんな風にあなたを殺してやろうかと考えていたよ」
と私が母に答えた
今日 私たちは抱き合い、
互いのために癒しを行う
「ありがとう、生んでくれて」
「ありがとう、生きていてくれて」

私たちは
私であったあなたを通して
自分自身を憎しみの軛(くびき)から解き放つ
肉体は墓場ではなく 
かつての地獄が最も聖なる祭壇となる
愛を捧げる祭壇となる

ここにいます
神よ
私はここにいます
神よ
私を用いてください
私はここにいます
私を地獄へ送ってください 
私は最も呪われた場所を、最も聖なる場所とするために存在しています
私を私のつくり出した地獄へ送ってください
神の子である私は
私が誰であるかを必ず思い出すから


かつての私が祈ったことを思い出した
瞬間
世界中の音がなくなった。

3

骨盤から脳天を貫くように
耀(かがや)く光が一直線に
私の背中を駆け上がる
肉体の範囲を超えて
光は地殻の中心から 聖なるドラゴンの姿で昇り来て
その巨大な顎が私の周囲の一切の靄(もや)を食べてしまった
ドラゴンは私のハートに少し留まると
大輪の花になって拡大した

無数の花びらは透明で 縁取りは虹色に呼吸し  
一枚ずつに音楽があって それらは大聖堂のパイプオルガンを100台同時に奏でるごとく
耳に聞こえない領域まで 倍音が響いていた
呼吸がしやすくなって 
私の腕は光る無数の枝になって

吸う息で 天から大きな光の柱が背中へ注がれ
吐く息で 胸から新しい花が咲きこぼれ、
吸う息で 地の経路から光が駆け上がり
吐く息で 胸から新しい花が開いた

腕から延びる光の枝は延長していき
グリッドのように辺りを覆(おお)ってゆく

呼吸とともに
しばらくそうしていた
 

あまりに嬉しくて
耳はただ歓喜の香りを聴いていた

天国の喜びを 垣間見ていた

ここにいます
ここは 地獄ではない
ここにいます
神よ